AGA治療薬が高い効果を持つ一方で、多くの人が懸念するのが「副作用」の存在です。一体、どのくらいの割合で副作用は発生するのでしょうか。この点についても、臨床試験によって詳細なデータが示されており、正しい知識を持つことで、過度な不安を和らげることができます。まず、内服薬のフィナステリドやデュタステリドで最も懸念されるのが、性機能に関する副作用です。フィナステリドの国内臨床試験では、主な副作用として「リビドー(性欲)減退」が1.1%、「勃起機能不全」が0.7%の割合で報告されています。デュタステリドでは、それぞれ4%前後と少し高めの数値が報告されています。これらの数字だけを見ると不安になるかもしれませんが、重要なのは、これらの試験では偽薬(プラセボ)を服用したグループでも、一定の割合で同様の症状が報告されているという点です。薬の成分とは関係のない心理的な要因なども含まれている可能性があり、実際の薬理作用による副作用の割合は、この数値よりも低い可能性が考えられます。また、もう一つ報告されている副作用に「肝機能障害」があります。発生割合としては0.2%程度と非常に稀ですが、ゼロではありません。だからこそ、治療前後の血液検査で肝機能の状態をチェックすることが、安全な治療のためには不可欠なのです。外用薬のミノキシジルについては、最も多い副作用は塗布した部分の「皮膚炎(かゆみ、発疹、ふけなど)」です。これは数%の割合で発生するとされています。重篤な副作用は稀ですが、もともと血圧の薬であったため、動悸やめまいなどが起こる可能性も指摘されています。そして、多くの人が経験するのが「初期脱毛」です。これは治療開始後1ヶ月前後で一時的に抜け毛が増える現象で、副作用というよりは、乱れたヘアサイクルが正常化する過程で起こる好転反応とされています。副作用の割合は決して高くはありませんが、万が一に備え、医師の管理下で治療を受けることが、安心して治療を続けるための絶対条件と言えるでしょう。
気になる副作用その発現割合はどのくらい?