ドラッグストアのヘアケアコーナーやインターネットの広告には髪に良いとされる多種多様な商品が所狭しと並んでいますが「育毛剤」と「発毛剤」という二つの言葉の間に存在する法的な定義と医学的な効果の決定的な違いを明確に区別して理解している消費者は驚くほど少なくその混同こそが薄毛対策の失敗や無駄な出費を招く最大の要因となっています。まず日本の医薬品医療機器等法(旧薬事法)に基づく分類において多くの育毛剤は「医薬部外品」に属しておりその主な目的は今ある髪を健康に保ち抜け毛を予防することや頭皮の血行を促進しフケや痒みを抑えて育毛環境を整えることにあり有効成分としてはセンブリエキスやグリチルリチン酸ジカリウムなどが配合されていますがこれらには新たに髪を生やすという直接的な効果は医学的に認められていません。これに対して発毛剤は「第一類医薬品」に分類されておりこれは薬剤師による対面または書面での情報提供が義務付けられているリスク区分のある薬であり厚生労働省によって厳格な審査を経て「壮年性脱毛症における発毛」という効能効果が明確に認められているミノキシジルという成分が配合されている点が決定的な違いです。つまり農業に例えるならば育毛剤は土壌を耕し水や肥料を与えて今ある作物が枯れないように守るための「土壌改良剤」であり発毛剤は種を撒いて何もない所から新たな芽を出させるための「種子」そのものであると言え既に毛根が萎縮し砂漠化してしまった土地にいくら高級な肥料である育毛剤を撒いても新しい芽が出ることはないのと同様に髪がなくなってしまった場所に育毛剤を使っても発毛効果は期待できません。したがって商品を選ぶ際の基準は非常にシンプルかつ残酷でありまだ髪のボリュームは維持できているが将来が不安であるとか抜け毛が少し気になり始めたという予防段階であれば副作用のリスクが極めて低い育毛剤を選べば良いですが地肌が透けて見えるほど薄毛が進行し明らかに髪の量が減ってしまった場合には迷わずミノキシジル配合の発毛剤を選択しなければ時間とお金の浪費になってしまいます。多くの人が副作用への懸念や価格の手頃さからまずは育毛剤から始めて効果が出ずに数年を費やしてしまうケースが見受けられますがAGA(男性型脱毛症)は進行性の疾患であり放置すればするほど毛根の寿命は尽きていき発毛剤さえ効かない状態になってしまうリスクがあるため早期に医学的根拠のある医薬品による介入を行うことが極めて重要です。パッケージの魅力的な謳い文句や有名なタレントを起用したイメージ戦略に惑わされることなく裏面の成分表示と「医薬品」か「医薬部外品」かという区分を自分の目で確認し現在の自分の髪のステージに合わせた最適な選択をすることが大切でありその正しい知識こそがあなたの大切な髪とお金を守るための最強の盾となるのです。