AGA治療を始めるかどうかを検討している人にとって、最も知りたいのは「実際に治療を始めた場合、どのくらいの割合の人が効果を実感できるのか?」という点でしょう。幸いなことに、現在の標準的なAGA治療は非常にエビデンス(科学的根拠)が確立されており、その効果を実感できる人の割合は極めて高いことが臨床試験によって証明されています。代表的な内服薬である「フィナステリド(プロペシア)」の日本国内で行われた臨床試験を見てみましょう。この試験では、フィナステリド1mgを1年間服用した結果、頭頂部の薄毛において、専門家による写真判定で「著明改善」または「中等度改善」とされた人の割合が58%にものぼりました。「軽度改善」まで含めると、さらにその割合は高まります。そして、これに「不変(現状維持)」と判定された40%の人を加えると、実に98%の人の薄毛の進行がストップした、という驚くべき結果が示されています。これは、AGAが「進行性」の脱毛症であることを考えれば、現状を維持できるだけでも、治療としては大成功と言えるのです。もう一つの代表的な治療薬である「デュタステリド(ザガーロ)」は、フィナステリドよりも強力にDHTを抑制する作用があり、臨床試験ではフィナステリドを上回る毛髪量の増加が確認されています。また、外用薬の「ミノキシジル」においても、国内の臨床試験では、5%濃度の製品を24週間使用した結果、90%以上の人に軽度改善以上の効果が認められました。もちろん、効果の現れ方には個人差があり、全ての人がフサフサの状態に戻るわけではありません。しかし、これらのデータが示す通り、現在の標準治療は極めて高い割合で薄毛の進行を食い止め、多くの人に改善をもたらす力を持っています。諦める前に、まずは専門医に相談し、この高い成功率を持つ治療の門を叩いてみることには、大きな価値があると言えるでしょう。